医学的、社会的に必要と判断された場合に、誘発や促進を行います。
- 誘発とは、陣痛が来ていない人に人工的に陣痛を起こさせること
- 促進とは、陣痛が来ているが弱い、と判断された人に人工的に陣痛を強めること
ここでは「促進」についてお話しします。
陣痛の誘発はどんなときに行うのか?
- 医学的理由のために、早く分娩となったほうが母児にとって安全と考えられる場合
・予定日を過ぎても陣痛が始まらない場合(予定日超過)
・破水後にしばらく待機しているにもかかわらず陣痛が開始しない場合
・妊娠高血圧症候群
・羊水過小
・胎児発育不全
・妊娠継続すると母体が危険と判断した場合 - 無痛分娩を麻酔科医や産科医、助産師などの多い日中にお産にするため
- 赤ちゃんがトラブルを抱えている場合に、小児科医や看護師の多い日中にお産にするため
- 社会的理由(本人の希望、家族の都合など)により、日付を決めて産みたいとき
誘発の実際
子宮口を物理的に開く
子宮口が閉じたままだと、子宮収縮剤を使っても、陣痛が来る確率が低くなります。
そのため、子宮口を開くために、水分を吸収して太くなる棒(ラミナリアやダイラソフトなど)は風船のようなもの(ミニメトロなど)を子宮口に挿入します。この刺激によって陣痛が来る人もいます。
陣痛をつけるために
子宮口がある程度開いた状態になれば、子宮収縮剤を使います。
子宮収縮剤は、「陣痛促進剤」とも呼ばれています。
日本で使っている子宮収縮剤は主に4種類です。
- オキシトシン(アトニン) 点滴
- プロスタグランジンF2α 点滴
- プロスタグランジンE2 内服薬
- ジノプロストン(プロウペス腟用剤) 腟剤
どの薬を使うかは、子宮口の状態や陣痛の有無などによって判断します。どの薬を使う場合にも分娩監視装置を用いて、胎児心拍や子宮収縮の状況を確認しながら使うことになっています。
内服薬は陣痛の状況を確認しつつ最大で6錠内服します。点滴の薬は大きなボトルに溶かして、少ない量からだんだん量を増やしていきます。もちろん、投与量には制限があり、その制限の中で使います。腟剤は腟の中に入れて、陣痛が強くなってくれば抜きます。
誘発しても産まれなかったら?
必要があって誘発しているにもかかわらず分娩にならない場合には、帝王切開を行ってお産を終わらせます。妊婦の状態やお産の進行状況によって変化するので、ときどきは医師や助産師に状況を聞いてみましょう。