治療が必要な過多月経の目安は「夜用ナプキンで一晩もたない場合」
生理(月経)の出血量が多いときには婦人科へ!と言われても、自分が「多い」のかどうかを判断するのは難しいですね。
目安として 「夜用ナプキンで一晩もたない場合」は異常です。
早めに婦人科に行きましょう。
過多月経とは
月経の出血量が、
- 生活に支障が出るほど大量になった場合
- 月経による出血のために貧血になっている場合
過多月経と診断します。出血が多くても本人が困っていないなら、あえて過多月経という必要はありません。ただし、その場合でも、採血してひどい貧血がある場合は、治療対象になります。
過多月経がひどくなると、出血が多いために外出できなかったり、血液が薄くなって(=貧血になって)階段が上がれなくなったりします。待合室で意識消失して痙攣した人もいました。緊急入院して輸血が必要になる場合も珍しくありません。
不思議なもので、ゆっくりと貧血が進んでいくと、ものすごくひどくなるまでは耐えてゆけるようです。普段から息切れしたり、階段を上れなかったりという症状があるのですが、ゆっくりと悪化してゆくと「こんなものかな?」と考えてしまうようです。治療によって貧血が改善されると「こんなに楽だったんだ!」と驚きます。
過多月経の原因、メカニズムについて
代表的なものは以下のような場合。
1.物理的な問題がある場合
- 子宮筋腫
- 子宮腺筋症(子宮内膜症)
- 子宮内膜ポリープ
2.ホルモンや血液などに機能的な問題がある場合
ホルモンの周期的な変動がうまくいっていないとき
血液が固まりにくい状態になっているとき
診断について
問診と貧血のチェック(これが一番大事)
月経時に多量の出血があるために生活に支障が出ていることを確認します。また、採血してひどい貧血になっていないかチェックします。貧血の場合には、胃がんや大腸がん、血液の病気、極端な偏食など、貧血になる原因が他にないことも確認する必要があります。
超音波検査
子宮筋腫やポリープなどがないかを調べます
MRI
超音波検査で筋腫などが見つかった場合に、それらの大きさや位置をハッキリとさせるために、MRIを行います。
過多月経の治療
原因によって異なります。
ホルモンが問題の場合
女性ホルモン剤や手術によって、出血をコントロールします。
- 低用量ピル
- 黄体ホルモン剤/ミニピル
- ミレーナ
- 偽閉経療法
- 子宮内膜焼灼術(MEA)
子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどが原因の場合
手術をする場合が多いです。子宮全摘するか、または筋腫やポリープのみを切除します。開腹や腹腔鏡、または、子宮鏡で経腟的に行います。
また、原因が何であっても、子宮を全摘すれば必ず解決します。
良くある質問
- 過多月経の薬は、生涯飲み続けることになるのですか?
-
薬による治療を行うことを選択したとしても、月経がなくなる年齢になれば、薬は不要となります。もちろん、子宮全摘を行えば薬などは不要になります。
- 過多月経は、再発を予防できる病気ですか?
-
ホルモンの変動や子宮筋腫が原因だった場合には、再発することはあります。もちろん、閉経するか、もしくは子宮全摘をすれば再発はありません。子宮を残した場合には、再発を防ぐために低用量ピルやディナゲストなどのホルモンコントロールをする薬を閉経まで使い続ける事が大事です。
将来の妊娠を希望される方は、治療によって出血量が落ち着いている間に、妊娠にトライしてください。せっかく治療したのに、放置してしまって、過多月経が再発してしまうと、次回は子宮全摘などの妊娠が不可能になる手術を選択しなくてはならないこともあるからです。子宮の病気は、妊娠を希望している場合には選択肢が少なくなります。
子宮にトラブルを抱えている場合には、早めの妊娠出産を考えてください。
どんな病気でも早めに対処しておくことで有利に対応できます。
出血量が多い人は、早めに婦人科でチェックをしましょう。
何事もバタバタしないで対応するのがよいですよね。