避妊法 甘く考えてませんか?

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4050歳代も、実は中絶の割合が高い

 あなたは正しい避妊法を知っていますか? 年間84万人の赤ちゃんが生まれている一方で、約14万件の中絶が行われています。中絶の絶対数は20~30歳代の女性が多いのですが、中絶の割合で見ると若者だけではなく、40~50歳代も中絶率が高くなっています。また、どの世代であってもコンドームが破れた結果の中絶が結構多くなっています。コンドームの避妊効果は不確実であることがあまり認識されていないようです。
 生理があって、セックスをすれば、常に妊娠の可能性があることを忘れてはいけません。大人の妊娠は、10代の早すぎる妊娠とは抱える課題が異なります。子どもの教育費のこと、女性自身のキャリア形成などといったそれぞれの事情もありますから、正しい避妊の知識を持つことは大事です。

2019年の中絶の割合(概数)

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出生数 中絶数 出生数+中絶数 中絶数 ÷(出生数+中絶数) %
総数865,2391564301,021,66915%
(12歳以下)(20)
(13歳)(2)
~14歳4018622682%
15~19歳7,74212,49220,23462%
20~24歳7209239,805111,89736%
25~29歳220,93331,392252,32512%
30~34歳312,58229,402341,9849%
35~39歳201,01028,131229,14112%
40~44歳49,19113,58962,78022%
45~49歳15931,3992,99247%
50~56116716%
不詳023

<参考>
2017年 人口動態調査  第4表 母の年齢(5歳階級)・ 出生順位別にみた出生数

2019年度 人口動態調査  第4表 母の年齢(5歳階級)・ 出生順位別にみた出生数
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei19/dl/08_h4.pdf
2019年度 衛生行政報告例の概況 結果の概要 6.母体保護関係
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/19/dl/gaikyo.pdf

中絶に至る事情は世代ごとにさまざま

中絶に至る事情はさまざまですが、世代ごとに多くみられる例を以下にあげてみます。

妊娠する可能性を全く考えていなかった20代

 厳しい就職戦争を勝ち抜いて4月から新入社員として働くことになっているのに、卒業直前の妊娠発覚。避妊は基礎体温法と外出し(腟外射精)で行っていて、今まで妊娠したことはなかった。中絶は絶対に嫌だが、入社してすぐに産休というわけにもいかない。確実な避妊法を知らなかったことを悔いて涙を流す。 厳しい就職戦争を勝ち抜いて4月から新入社員として働くことになっているのに、卒業直前の妊娠発覚。避妊は基礎体温法と外出し(腟外射精)で行っていて、今まで妊娠したことはなかった。中絶は絶対に嫌だが、入社してすぐに産休というわけにもいかない。確実な避妊法を知らなかったことを悔いて涙を流す。

念願の仕事が始動する矢先に妊娠した独身女性30代

 がんばってきた甲斐あって、ようやく重要なプロジェクトの一員になれた。苦労して立ち上げたプロジェクトが始動するという矢先に妊娠。避妊のために必ずコンドームを使っていたが、途中で破れてしまった。コンドームは1年間で3%が妊娠することのある避妊法で、もし妊娠したら産んでもいいと考えている人向けの方法であることは知らなかった。仕事では隅から隅まで漏れがないように考えていたのに、こんな不確実な避妊法に頼っていたことを知って自責の念に駆られている。

子育て卒業と思いきや、予期せぬ妊娠に戸惑う主婦40代

 20歳代に3人の子どもを出産し育ててきた。その後は、外出しのみによる避妊で失敗したことはなかった。更年期も近くなってきたし、セックスの回数も減ったから妊娠するはずはないと思いこんでいた。なのに、久しぶりにたった1回セックスしただけなのに妊娠してしまった。いい年をした大人が今さら中絶なんてと思うが、もうすぐ子どもは大学受験で、勉強できる静かな環境を与えたいし、経済的にも大変な時期に赤ちゃんを育てることは考えられない。まして、年老いてきた両親の世話もあって精神的にも余裕がない。不用意なセックスをしたことを後悔するばかり。

妊娠検査薬が陽性なら婦人科へ

 避妊法を選ぶときまず考えなくてはいけないこと、それはどの程度まで妊娠を避けたいのかということです。絶対に妊娠したくないのか、それとも、妊娠してしまったら産むつもりでいるのか、現在の自分の許容範囲をまず考えましょう。絶対に妊娠したくないなら確実な方法を選ぶ必要があります。妊娠してもかまわないときの避妊法とは違うのです。
 中絶する人を見ていて残念に思うのは、「絶対に妊娠しては困る」状況なのに不確実な避妊法(コンドームや腟外射精など)に頼っている人が多いことです。仕事や買い物のときには詳しく調べてから行動している人達が、避妊に対してはあまり調べもせずに不確実な方法を繰り返して妊娠してしまっています。セックスは身近なことなのに、妊娠や避妊に関しては学校教育で必修ではなく、親もちゃんと教育できないからでしょうか。しかし、命に直結することですから、しっかりとした知識を付けてもらいたいですね。

【各種避妊法による使用開始後1年間での妊娠率】( )内は一般的な使用の場合

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避妊法妊娠率メリット/デメリット価格
低用量ピル0.3% (9%)女性自身が行えて簡単。
血栓症のリスクがある
1,500~3,000円/月
薬物添加IUS
(ミレーナ)
0.2% (0.2%)月経痛や出血量の軽減もできる。
出産していない人は挿入時に痛いことがある。
60000円/5年
月経痛などがある人は保険適応で12000円/5年
コンドーム2% (18%)簡単だが男性の協力が必要で、
失敗が結構ある。
30円/回
オギノ式・リズム法
(基礎体温法)
1~5% (25%)排卵の時期がずれることは良くあり、失敗率は高い。不確実無料
緊急避妊ピル
(ノルレボ)
3%一回のセックスで
10%の妊娠率を3%まで下げる。とんど避妊するつもりのない人
20,000円/回
卵管切除(女性)0.5%(0.5%)分娩後、または、帝王切開中に手術する3~10万円
精管結紮(男性)0.10%(0.15%)日帰り手術する。8~15万円
避妊インプラント1%以下外来で挿入日本では未認可
避妊せず
(妊娠希望)
85%  

※一般的な使用とは、例えばピルの飲み忘れや、コンドームを射精後すぐに抜かず腟内に抜け落ちた場合などを含む。
低用量経口避妊薬の医師向け情報提供資料より改変

 以下に、妊娠を避けたいレベルごとにおすすめしたい避妊法をあげます。絶対に妊娠したくない人は、現代の技術を使って安心できるセックスをしましょう。

妊娠を避けたいレベルごとにおすすめしたい避妊法

最強レベル:絶対に妊娠したくない人へ

最強レベル

→「低用量ピル」または「薬物添加IUS(商品名:ミレーナ)」(+コンドーム)

 低用量ピルを毎日飲んでいれば、99%以上は妊娠しません(毎月1,500~3,000円程度、ただし初診時5,000円程度)。ピルは生理痛を劇的に軽くし、生理不順もなくなるので働く女性にすすめられます。ただし同時に性感染症予防としてコンドームを使うことが大事です(ほかの避妊法でも同じ)。
 薬物添加IUS(女性ホルモンの入った小さな器具)を子宮内に置いておく(産婦人科外来で挿入)ことにより妊娠を防ぐ方法もあります(1回4~5万円程度、5年間有効=ひと月あたり800円)。こちらは、1回挿入すれば毎日薬を飲む必要もなく、血栓症などの全身に影響のある副作用もないため、忙しい人や持病のある人などに向いています。なお、出産経験のない人でも挿入できます。挿入可能かどうかは医師に相談しましょう。

中程度レベル:もし妊娠してしまったら産んでもよいと思っている人へ

中程度レベル

→「コンドーム+基礎体温法(+緊急避妊ピル)」

 コンドームは破れたり抜けたりすることがあり、また基礎体温法では排卵がたまたまずれたり精子が長く生きていたりすることもあります。より可能性を下げるためには二つを併用したほうがより安心ですが、それでも少し不確実です。この避妊法では1年間に2~3%程度の人が妊娠する可能性があるので、もし妊娠してしまったら産むつもりの人でないとおすすめできません。パートナーがいて、そのうち子どもが欲しいなあ、避妊はしているけど赤ちゃんができたらできたでうれしいなあ、と思っているくらいの人におすすめです。
 もしも排卵日前後にコンドームが破れてしまったときは、72時間以内に緊急避妊ピル(商品名:ノルレボ錠)を飲めば妊娠の確率を下げることができます(1回1万円程度)。ただし、夜中に病院に来るのは避けてください。72時間以内なら効果がありますから、厳しい勤務でがんばっている産婦人科医を寝かせてあげてください。薬局で買えるのがベストなんですが、日本では医者の処方箋が必要です。また、もし一回でも緊急避妊ピルを飲む事態になったなら、避妊を確実にするために次回からは低用量ピルやミレーナを考えたほうがいいですね。

気休めレベル:ほとんど避妊するつもりのない人

気休めレベル

→「腟外射精(外出し)」

 避妊した「つもり」になりたい人ならこれもありかも、やらないよりはましです。射精前にも精子は少し漏れていますし、射精直前で抜いても妊娠することはよくあります。それまで妊娠しなかったのは、たまたま運がよかっただけです。ほかに有効な方法のある現代日本では避妊法とは言いがたい失敗率の高い方法です。まあ、女性ならこのような「避妊」しかしてくれない男とは別れたほうがよいでしょう。あなたの体や心を気遣っているとは思えません。また、性感染症をうつされる可能性も高いですね。他の女性もそのように扱っていたのでしょうから。

 女性にとって妊娠出産は大きな出来事です。自分で自分の未来を決めていくためにも、自分が主体となった避妊法を選びましょう。妊娠の不安のないセックスなら、心から楽しむこともできるでしょう。何より自分で選択した結果の妊娠であれば、喜びをもって新しい命を迎えることができるでしょう。

産婦人科の選び方

産婦人科の選び方についても大事ですね。
受診してしばらく経過してみないと本当には判断できませんが、目安として挙げてみます。

  1. 電話対応が良い
  2. 現状や病気について、しっかりと説明してくれる
  3. 治療や検査を何のためにするのか説明してくれる
  4. 将来のコトについても説明してくれる
  5. 妊娠や出産についての意向を聞いてくれる
  6. 一番困ったことを解決してくれる
  7. 費用のことについても相談に乗ってくれる
  8. 他の病院に行きたいと言ったときに嫌な顔をしない

まとめ

妊娠を疑ったら、まず市販の妊娠検査薬を使ってチェックしましょう。陽性が出た時は、1~2週間以内に産婦人科、産科、婦人科を受診してください。異所性妊娠など、命に関わることもあります。医師から伝えられる注意点を良く聞いて置いてください。
問題なければ、次回は2~3週間後の受診となります。

ドクターが教える! 親子で考える
「子宮頸がん」と「女性のカラダ」

太田 寛 (著) 出版社 ‏ : ‎ 日東書院本社

この本で、特に望まない「妊娠」と「子宮頸がん」について知ってもらいたい。この二つは、予防できるのに予防できていない、とても残念な状況です。子どものうちから、正しい情報を知り、後悔のないようにしましょう!

【主な内容】
第1章 女性のカラダ
第2章 生理と妊娠のこと
第3章 産婦人科ってどんなところ?
第4章 子宮がんについて
第5章 親子で考える「HPVワクチン」

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